2014/05/09

2005 Bianchi 928 Carbon Lugged Cento Venti

どうしてこういう妙なバイクが僕の周りに集まってくるのでしょうか…
今回紹介するのは、友人が偶々手に入れた非常に希少なモデルです。



このフレーム、正式名称は928 Carbon L。LはLuggedのLです。僕が知る限り、ビアンキが唯一生産したカーボンラグドフレームです。このフレーム自体は意外と生産されて(日本にも数十台は入ってきて)いるようなのですが、今回のフレームは120周年限定カラーということでその希少性が際立っているようです。

120周年記念カラーに関しては賛否両論というレベルでは無く、手抜き仕様として否定されることが非常に多いですが、手抜きだったからこそ上位モデルは台数が少なく、あまり見たことがありません。色も非常に地味で、パッと見での解りやすさが無いので今もあまり評価されていないイメージがあります。

このカラーを詳しく見ていくと…

ダウンチューブには創業当時のロゴと2005年当時のロゴが

トップチューブには120周年エンブレムが(右側のみ)

あるだけです( ー`дー´)キリッ

(これでは手抜きと言われてもおかしくないですね:(;゙゚'ω゚'):)

参考までに、100周年記念モデル110周年記念モデルは凄いです。こういったモデルを今作ろうと思っても、もう職人さんが居なくて作れないのかもしれませんね。

しかし、僕個人の意見ですが、120周年記念カラーは凄くかっこいいと思います。シンプルかつゴージャス。懐古主義かつトレンドを抑えたデザインとして残していきたいと思っています。(僕は持ってませんが)

個人的に一番好きなのがこのBB周りの造形です。
ラインが繋がっていて非常に美しいと思います。

このバイク、詳細を書き起こして行くと凄く面白いフレームです。2003年〜2005年にかけてBianchiはフレーム造りの転換期を迎えますが、その時期に生産されたカーボンフレームの形状はアルミのフラッグシップモデルであるEV3と同じ形状に整形されていました。フルカーボンモノコックのXL Carbon(後の928)、ラグドフレームの928Lと、それまでのカーボンバイクとは差別化が図られていました。それまでは一部の特殊なフレームを除き、丸いカーボンパイプをアルミラグやカーボンラグで繋ぐのが主流だったと記憶しています。2004年辺りにコロンバスやデダチャイがメーカー向けのカーボンパイプを一斉にリリースして、各メーカーのフレーム形状がパッと見同じに見える(細部は全然違っていたのですが)ような時代もありました…。

なお、このフレームのシートステーとチェーンステーは僕のXL EV3 Carbonと全く同じです。チェーンステーに穴の空いたものは汎用ステーには無かったと記憶しているのでビアンキオリジナルなのではないか…と思うのですが、何処かの汎用品かもしれません。海外ではコルナゴのBステーと同じような穴が空いていることから、ビアンキのBステーと呼んでいる人も居るようですが、個人的にはコルナゴリスペクトであまりBステーとは呼びたくない気持ちもあります。

ラグ部分などの細かい作りを見ていくと、ハンドメイドっぽさが滲み出てきており、当時のレパルトコルサが試行錯誤しつつも高い意識を意識を持って自転車を製作していたのが解ります。

僕は当時からビアンキにしか興味が無いので、先日目黒の自転車文化センターに行った時に当時の資料を繰っていて再認識したのですが、当時は各社から様々なアイディアに基づく面白いフレームが数多く販売され、本当に面白い時代でした。言うまでも無く最近のバイクのほうが性能が高いですが、2005年前後の不完全なバイクが持つ謎の魅力から僕も友人も抜け出す事が出来ません。

ちなみに、このフレームを購入した友人は、以前紹介したD2の持ち主でもあるので、彼のコレクションは本当に羨ましいですね。

彼の目下の悩みは、フレームに合わせるコンポが見つからない…ということだそうです。確かにこれくらいのフレームだと最近のコンポや生半可なコンポでは組みづらいですよね…。当時物のレコードで組もう!という話をしているのですが、流石にもう程度の良い物は殆ど残っていない…。もし、何方かこの928Lにマッチするコンポを持っていらっしゃる方が居たら声をかけて頂きたい所です…。コルナゴでは高くなりすぎた剛性を落とす為に穴を開けているとされていますが、ビアンキの公式見解は不明です。

メーカーの当時のカタログには
"928Carbon"フレームシリーズは、その名前にビアンキの歴史を語る上で外せないレースでの活躍を表しました。 9/2/8はそれぞれ1949年、1952年、1998年の下一桁、つまり1949年と1952年はファウスト・コッピが、1998年にはマルコ・パンターニがツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアのダブルツールを制しています。 その偉業を讃える為に、創業120周と言う節目になる2005年のモデルにこの名前を冠しました。

様々な路面状況や、戦況が予想出来ないレースシーンで、それらを全てクリアしてゴールする事はレーサーにとって重要な事の一つです。 その為に必要な勇気とアイデアをライダーが持っていれば、928カーボンフレームは従順に従うでしょう。
表面に3Kカーボンクロスを使用し、独特なデザインのハイモデュラスカーボン製ラグフレームは、すばらしいパフォーマンスを発揮します

とありますね。

当時の雑誌にはロングライド向けの非常に快適なフレームという記述があり、乗り心地が非常に気になる所です。というか早く乗りたいのでコンポを探してあげなきゃ(;^ω^)

ちなみに、塗装はイタリアンクオリティであるのも否めないですw
塗装の境目がバシッとした境目になっていない部分もあります…。
Handmade in Italyのステッカーが貼ってあるので、完全なイタリアメイドのようですね。
ビアンキファンとしてはそこも凄く嬉しいポイントですw

2 件のコメント:

  1. こういうの見ると俺の125周年モデルのやっつけ感がハンパないね(笑)

    ほかのメーカーでこういった記念モデルに力入れてるのってあるのかな??

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    1. どうもです。年を追うごとに簡素になっていくのは自明ですよね…。他にはコルナゴやデローザが以前は力を入れてた記憶がありますが、最近では台湾に生産拠点を移しているのでもうダメですね。僕の記憶が正しければ、2005年はニローネ以外は全部イタリア(周辺)で作られていたので、これが最後のイタリア人の適当な仕事なはずです(´;ω;`)ブワッ

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